役割等級制度の現状と本質 [10/11]
役割等級制度導入と組織変革の関係
BG: 役割等級制度の導入と組織変革についてはどのようにお考えですか?
西村: 組織改革における制度の位置付けということですね。これについては,すでに少し触れた通り,組織変革において,そもそも役割等級制度そのものが経営革新をやるために使われる,BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)を行った結果であり,それが,人事においては役割等級制度になっていくという考え方です。昨今のあまりにも不確実な環境の下では,有効な戦略を構築するために,これまでの分析的,演繹的に戦略を導き出す方法だけでは不十分です。そこで,第一線の社員の行動の中から機能的に戦略を生み出そうとする,そして人間の持つ創造性と創発性に注目することで,戦略行動を起こさせようとする,そういうプロセス型戦略というものが出てきたわけです。プロセスを通じて,企業は戦略的学習を行い,プロセスの中で発生してくる偶発的な事態というものを積極的に取り込みながら戦略の進化を図っていくということが,プロセス型戦略です。
したがって,繰り返しになりますがプロセスというものが非常に重要であり,そのプロセスをやはり明確にした上で,それを実行する人間,社員としていかなる職務をするべきかという発想から,役割等級制度というものが生まれてきたのです。つまり,役割等級制度の導入には「ビジネスプロセスの改革」を伴うということになります。このことから必然的に組織変革につながります。この組織変革は,職務上の役割の変更・修正を当然伴いますので,職務行動の変革と成果責任の確認は必ず必要になってくるということになります。
BG: となると,職務給同様,その制度を導入したときはそれでいいとして,その後も立て続けに手を入れていく必要があるという感じになるわけですか?
西村: そうですね。ほぼ毎年役割基準(職務基準)はレビューを行い必要であれば見直しを当然やらざるを得なくなってくるということですね。環境が変われば,行動を変えることが必要です。仕事のやり方も必然的に変わってきます。ということからすると,職務給の弊害ということで出てきました職務記述書を書き直すということが,非常に手間だということもありますが,それは成果を公平に評価するというところに突き当たりますので,そこは曖昧にせず,しっかりと責任を明確にし,書き直すということも当然やらなければならないことです。
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